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【産業動向】NANDフラッシュのYMTC、価格戦略を転換 25年12月のみで10%超値上げ 台湾報道
2025-12-19 11:16:51
台湾の大手経済紙『工商時報』は2025年12月19日付で、AI(人工知能)及びデータセンター向け需要の拡大を背景に、メモリ生産能力の逼迫が世界的に続く中、NAND型フラッシュメモリ(NANDフラッシュ)大手の中国YMTC(長江存儲)が、新たな価格調整に踏み切り、NANDウェハー価格を12月のみで10%超上げたとの情報が、台湾の市場や産業界に広がっていると報じた。


報道によると、同紙の伝えた台湾のメモリ業界筋は、YMTCの25年12月の実際の取引価格を同11月と比較すると、NANDウェハー価格は10%超上昇、SSD(ソリッドステートドライブ)等の完成品は15~20%上昇だったとし、YMTCが段階的な値上げ戦略を採用していることが分かると述べた。また、台湾のサプライチェーンは、YMTCが25年初頭以降、複数回にわたり価格改定を実施、一部製品では実際の取引価格が非中国系メーカーと同等かそれ以上の水準に達しているとし、このことは、YMTCが価格戦略を低価格による市場獲得から、「出荷量を抑えつつ価格を安定させる」方針へと転換したことの証左だと述べた。

このサプライチェーンは、YMTCのNANDウェハー供給能力について、湖北省武漢の2工場で12インチ換算で生産能力は単月約16万枚規模だと指摘。既存ラインの最適化や歩留まり改善で実際の供給量も拡大していることから、YMTCがこれまでの補完的なサプライヤーから、コンシューマ向けNANDフラッシュ価格形成に世界で影響を与える存在になりつつあるとの考えを示した。

一方で同紙は、DRAM分野では、中国CXMT(長鑫存儲)の生産能力も注目されていると指摘。投入量ベースの生産能力は直近で単月28万枚だが、2026年には約30万枚規模に拡大する計画だとした。ただ、新規投資による実質的な増産効果は約10%にとどまるとの見方が強いとし、米国による先端製造装置や重要技術の輸出規制強化が足かせになっていると評した。

先の業界筋は、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)、韓国SKハイニックス(SK Hynix)、米マイクロン(Micron)のメモリ世界大手3社が生産能力や設備投資の重点をAI(人工知能)、HBM、エンタープライズ向け製品へ移行する中、YMTCとCXMTは、PCやスマートフォンを含むコンシューマ向けメモリー市場における数少ない供給源になっていると指摘。その上で、こうした実情から、PCの台湾大手、エイサー(Acer=宏碁)とASUS(エイスース=華碩)が、調達の戦略的な選択肢の1つとして、中国系メモリの評価・検証を開始していると述べた。

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